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アルドノア・ゼロの二次創作小説。
「面会室の伊奈帆とスレイン」シリーズの
ショートショートを更新中です。
ここにあるものは原作解釈を重視したもので
作者本人はカップリングと考えてはいません。
鳴海名義の過去作品については、当サイトの[BlueVault]もしくは
イラストコミュニケーションサイト「Pixiv」の投稿ページをご覧ください。
カップリングタグは[伊奈スレ]となっています。
(Pixivへのリンクはメニュー一覧のSNSリンク集「通信室」にあります)
人間同士の自然な心の交流として人間賛歌を描いているつもりですが、
読む人によってはカップリングと感じられるものについては小説ページでも
△▽
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Deep Sea Monster_10
10、Deep Sea Monster 「二人揃って、帰って来たね」 ホテルの部屋に戻ると、マズゥールカが挨拶もそこそこにそう言った。 「お帰り、伊奈帆君。スレイン君」 耶賀頼も安堵の表情を浮かべている。ラウンジ、四人掛けのテーブル席で向かい合う大人二人の前には...

μ
6月19日読了時間: 8分
Deep Sea Monster_8&9
8、都市 既に光は、潜水艇の電気照明だけである。 太陽光の届かぬ水深四,〇〇〇メートルの底の亀裂の更に先、潜水挺デューカリオンは、垂直方向に船体を移動させていた。深海シティ“ヴァ―ス”への行程が、最終局面に差し掛かった十四日目のことである。スレインは伊奈帆ととも...

μ
6月19日読了時間: 24分
Deep Sea Monster_6&7
6、船員 「彼の血液は、異常だね」 伊奈帆はその言葉の意味を考えながら眼下の身体を見下ろした。ベッドサイドのガートルスタンドにぶら下がる二種類の輸液パウチから、上に向けた右肘裏に二本の針が刺さっている。仰向けに横たわる身体、洗い晒しのブルーの患者着の上衣を診察のためた...

μ
6月19日読了時間: 26分
Deep Sea Monster_4&5
4、邂逅 階段を駆け下りた一階で、伊奈帆は乗組員の一人カームと鉢合わせた。 「いたか?」 「追いかける」 横をすり抜け短く言うと、カームが伊奈帆の肩を掴む。古い馴染みである。言いたいことは口を開く前から目を見るまでもなく分かる。 「お前がか!?俺が行く」...

μ
6月19日読了時間: 16分
Deep Sea Monster_2&3
2、人魚 光は嫌い。波も嫌い。みんなみんな嫌いなの。 酸素濃度が徐々に減る濁った水で満たされた運搬用の水槽で、レムリナは我が身の不運を呪った。窮屈な直方体のガラスの容積はレムリナのような細身の小さな人魚ですらも、腕と尾鰭を折り曲げなくてはいられないほど狭かった。...

μ
6月19日読了時間: 16分
Deep Sea Monster_1
プロローグ 夢の中で、僕は波音に目を覚ます。口の中が砂っぽい。それにしょっぱくて、喉がカラカラに乾いていた。 「気がつきましたか?」 磯の匂い。砂浜だ。人影が視界を覆う逆光で、僕は瞼を開き瞬きを繰り返す。カナリア色の、濡れた長い髪が頬に当たってくすぐったい。金の髪に...

μ
6月19日読了時間: 17分
▽from rain△
病名はない。 歩みを止め、伊奈帆は空を見る。電線で多角形に切り取られた茜色の空を、雁がV字の隊列で飛んでいる。薄い雲は、紫色のグラデーションに染まっていた。 よく晴れた夕焼け空だ、と伊奈帆は思い、鞄を持ち直し、帰路を再び歩き出す。...

μ
6月10日読了時間: 19分
面会室の伊奈帆とスレインードーナツ・ホールー
「何?」 界塚伊奈帆は、スティックシュガーを中心でぱきりと折った手元もそのままに聞いた。 「いや、……それ、飲めるのか?」 面会室のテーブル対面。スレイン・トロイヤードは湯気の浮かぶマグカップを持ち上げたまま、"だるまさんがころんだ"の真っ最中のような顔で呟く。...

μ
6月3日読了時間: 4分
▽A rose is a rose is a rose.-Gert Stein△
薔薇は薔薇であり、薔薇であり、薔薇である。 薔薇の花が薔薇であり、薔薇の棘が薔薇である。 薔薇の根が薔薇であるように、それ以外に薔薇の本質は存在しない。 A rose is a rose is a rose.-Gertrude Stein First night...

μ
5月19日読了時間: 20分
▽花吐き病【嘔吐中枢花被性疾患】△
「青い花びら?」 蝉の声が洪水のように押し寄せる真夏日。極秘施設での面会を終えた伊奈帆が外に出ると、熱い風が通り抜けた。伊奈帆のから青い欠片が風で飛ばされ、しばらく宙返りを繰り返した後地面に落ち、張り付いた。伊奈帆は不思議そうに呟く。 「花びらなんて、いつ、ついたんだろう」...

μ
5月19日読了時間: 17分
面会室の伊奈帆とスレインー「初恋」「恋の芽生え」ー
「花なんか、持ってこられてもな」 面会室のテーブル中央。チェスボードを脇に押しのけ鎮座するバケツを眺め、スレインは肩を竦めた。脱力気味に椅子へ腰掛け、右手をくるりと翻す。 「僕たち、どういう関係なんだ?」 対面に座る界塚伊奈帆が、入室後初めて口を開く。彼の顔は、バケツと...

μ
5月19日読了時間: 3分
面会室の伊奈帆とスレインーアルビノー
「アジサイの色は、土壌中のアルミニウムイオンの吸収量に影響されるんだ」 コン、と白のポーンが黒のマスに着地した。 「pH 5.5までなら青に、pH 6.0以上なら赤やピンク」 ペーハー、という発音とともに黒のポーンをその斜向かいへ。界塚伊奈帆は科学的知識の披露を淡々と続...

μ
5月19日読了時間: 5分
面会室の伊奈帆とスレインーTwo menー
「いや、違う」 面会室の椅子に座りながらの返答。着席する界塚伊奈帆を半目で見つつ、スレインは左右非対称に口を曲げた。 「……」 「……」 「ずぶ濡れだ。雨じゃない。何があっ」 「だったら、どうしてそんなに濡れている?」...

μ
5月19日読了時間: 3分
of the worldーどこかー
青い空。その青は、日を追うごとに一層深く澄み渡るよう。 この空。レイリー散乱の地球の空を見上げて僕らは、いつの日か。そう。いつの日か。 僕らはいつか、この肺から血を吹き出して死ぬのだろう。 「おはよう」 声に振り向く。歩み寄る伊奈帆が見えた。スレインは半身を向けて彼を...

μ
5月19日読了時間: 32分
of the worldー残響ー
肩甲骨の間、カチリ、とセーフティーが解除された。 「いい度胸をしている。それともただの馬鹿なのか?」 背後に聞く声は、何度も何度も聞いた声。脈拍が早くなり、口元に知らず笑みが浮かぶ。 銃口を突きつけられたまま、伊奈帆は両手を顔の高さに開いて上げた。...

μ
5月19日読了時間: 12分
▽of the worldー光ー△
パパパパ、パン! 「ハッピーバースデー、スレイン」 合計五つのクラッカーから時間差で飛び出す紙テープと紙吹雪の洪水を受け、スレインは喜ぶとか驚くとかより先に瞬きをして目のチカチカを緩和する羽目になった。火薬の臭いが充満するリビング・ルーム、テーブルには常より豪華な夕食メニ...

μ
5月19日読了時間: 31分
of the worldー今ー
伊奈帆が摘み上げたのは砂のような小さな欠片。机の上のシャーレに落ちてゆく様が、晴れた海の波間の照り返しのように蛍光灯にきらきら光った。 「へえ。青いんだね」 「そうみたいだな」 極秘施設面会室にて。スレインはテーブルに頬杖をつき、唇を尖らせる。...

μ
5月19日読了時間: 31分
面会室の伊奈帆とスレインーChiropteraー
「鳥類に匹敵するほどの完全な飛行能力を有する」 「……」 「目の前の獲物だけでなく、次の獲物の位置も先読みしながら最適なルートを飛んでいるんだ。水平飛行速度の最速記録は時速160キロ」 「……」 「天敵が少なく死亡率が低いこと。空を飛ぶという制約から高い繁殖力を持てない」...

μ
5月19日読了時間: 2分
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