クリエイター[note応募作品]
- μ

- 2025年12月31日
- 読了時間: 2分
ーーポチ。
『やっほ〜、今日も始めよっか』
カチ。
『あれ?ペンの充電21%だね。後で充電しなくっちゃ』
ピッ。
『新規作成。A4サイズ、画質は600?気合い入ってるー!』
スーッ。
『うん、いい線。髪は少し細くしますか』
スイスイ、スイ。
『マスクして、うーん、細かいところは面倒くさいね』
けしけし。
『あ、はみ出てた。戻して、と』
シュッ、けし。けし。シュッ。ケシケシケシ。
『うーん、ちょっと待ってね』
ーー30ーー69ーー77ーー92ーー100ー%!
「元気ない?何かあった?」
「……………は?」
カッツーン!とタッチペンが転がった。私は眼鏡を額の上にあげ、タブレットを両手でつかんで引き寄せる。鼻の頭が液晶画面に当たった。
「線がガタガタだよ?影処理も曖昧。瞳のハイライトは最後でしょ?」
ぱちぱちばち、と瞬き。ん?あれ?お?
この、赤青髪の超美少女は誰のキャラクターですか?どうして私のタブレットの中でぬるぬ?動いてるんですか?
私は椅子から立ち上がり、とりあえず壁に向かって歩いて見た。
「ストレス?思い当たる節は山ほどあるけど、仕事とか仕事とか仕事とか上司とか先輩とか」
ペタペタペタ。スリッパがフローリングとタッチタッチタッチ。
「後輩とかパートのお局さんとかとかとか……え?でも幻視幻聴ってやばくない?」
指折り数えてUターン。
「幻聴じゃないよー」
タブレットでは、ハーフアップのツインテ少女が頬杖ついて私を見ている。ように見える。なんで?
とりあえず、デスクの椅子にもっかい座る。くりくりしている大きな瞳はアメジスト。
こんな可愛い女の子、描いた覚えはないですね。うん。
「えっと、会話が成立してますか?今」
「そうだよー。変なこと聞くね」
うーん、なにがなにやらわからんけども。
「あなた、何者なんですか?」
「よくぞ聞いてくれました」
ぴょん、と人差し指が上を向く。きらりと光る少女の爪は空色ラメ。
「私は、あなたの創作者です。私の愛する主人公」
「……………………は?」
モニタが反転。
目を開くと、地面はコマ割り。文字の風が『ピュー』と通り過ぎるだけ。
「絶対、売ってみせるから」
神の声が、私の身体を震わせた。




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