面会室の伊奈帆とスレインーガーネット・スターー
- μ
- 7月26日
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「彗星の色?」
スレインは、おうむ返しで伊奈帆を見つめた。彼は、テーブルの上のチェスピースを指先で転がしながらこくんと頷く。
「すれすれを通って行った。その時の、カタフラクト装甲を掠めていった氷の色に似てると思う」
この朴念仁にしては柄にもなく、詩人みたいなことを言う。
「それが君のやり方なのか?瞳の色を、星の色に例えるのが」
「やり方?なんの?」
「こっちを見てみろ。界塚伊奈帆」
「見てるけど」
「そうじゃない」
蛍光灯が明滅した。ロールシャッハのように抽象化される影は残像。
そうして見えた星の色。ああ、なるほど。
「太陽の1000倍か」
「どの星のこと?」
伊奈帆の問いにスレインは口を歪めて肩をすくめた。
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