top of page

36_虹色レイヤー#03

「あれ?」
土曜日14時12分。待ち合わせのBエリア公園前に着いたリックは、意外な光景に駆け足を緩めた。
「やっほ。リック」
「よっ!後輩くん」
手を振るレニと、こないだ辞めたサーチャーのジャケット姿の先輩。セントラルの上級生だが、大学での接点はない。
先輩の顔を見るの、いつぶりだっけ。半年くらいかな。バイト先の通路で挨拶した。
「レニ、えーと。…………ケイト先輩と知り合いだったの?」
「ええ」
「リックくん。今、私の名前を一生懸命思い出してたろー?」
「すみません。3年ぶりに発声した」
ケイト先輩がからっと笑った。気さくで明るく、視野が広くて話が早い。そして、足もとても早い。
先輩とレニは、視線を合わせふふっと笑った。なんか、すっごく仲良さそう。僕が気づかなかっただけで、前から友達だったのかな?
「グリーンさんとこのアビー。こないだ、レニさんが捕まえてくれたのよ」
「ああ!僕も同じ」
「ふふっ。面白かったわ」
ケイト先輩が、業者のキャップをくるりと回した。かっこいい。キャップは持ってないけれど、買ったらそれ、やってみたい。
「レニさんにまた会いたいなーと思って、バイトのある日にこのへんぶらついてたんだ」
リックは、あはっ、と笑った。猫探しのマニュアルと同じ。
「そうなんだ。僕も同じことしたけど、会えたのは駅だった」
ケイト先輩の目がきらんと光る。
「ふむ。君、もしかナンパした?」
「へへっ。はい」
「なんて言って?」
「やあ、1人?って」
ぽっかーん。
ケイト先輩が、目と口をまんまるにした。僕よりずっと大人の人だと思ってたけど、こんな顔もするんだ。初めて見た。
「君、普通の男の子みたい」
「?僕、普通の男ですよ」
「ふふっ」
レニが笑った。右頰にできた笑窪がとってもかわいい。
ケイト先輩がキャップを被り直した。そっか。先輩は仕事中。今日の猫はどの子だろう。アビーかな?あの子、故障してるから。
「2人、これからデート?」
「はい」
「土曜日は、いつもそうなの」
「へー、ステキ!じゃ、私、バイトがあるから!レニさんまたね!後輩くんも!」
ケイト先輩が走り去った。いいなあ。仕事じゃなくちゃ、走ってる人いないもんな。

bottom of page