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「ハーイ、レニ!ドレス素敵よ」

「ありがと、ナオミ」

ドレスを褒められたことが嬉しくて、レニはナオミの肩にタッチした。

レニの装いは、履きこなせてきた6cmヒールのゴールド・パンプスと、自前のリトル・ブラックドレス。数日前に古着屋に行き、4800ルカで購入した。


ナオミがカウンターに腰掛けた。彼女は背中が大きく開いた、ウルトラマリンのマーメイドドレス。洗練されて大人っぽい。

「ジェンに会った?」

「うん。何度か」

「元気そ?」

「アイスクリーム屋、ウィンターウェザーでも大繁盛」

「わかるわー。ジェンは綺麗だからね」

今日の仕事はキャンディ・バーのバーテンダー。レニはカウンターの内側で、客のリクエストを聞きドリンクを提供する。ブレンドが必要なのはハイボールのみ。あとはドリンクパックからガラスのコップに移すだけ。

数ヶ月ぶりに訪れた店内は、快適で居心地が良い。雑談がほとんどなくて静かだ。

レニは、消費期限が本日のドリンクを冷蔵庫から取り出した。グラスに注いだグレープ・ジュースは透明感のある紫色。

「エラが来てから、変わったわ」

エメラルド・ガール。客引きのためにオーナーがローンで買ったジュエレッタ。

「変わったって、何が?」

「お客さん」

ナオミはグラスを光に翳した。ゆらめく水面を眺める頬は、酔っているのか少し赤い。

「最初はどうかと思ったけど。あたし、今のこの店が好きよ」

「へえ」

レニは壁際の椅子座るエメラルド・ガールを見た。距離1メートルほどの半円形に配置されたテーブルは8セット。BGMの、弦楽器のピッチ移動まで聞こえる空間。 32人がエラを眺め、物静かにドリンクとつまみを楽しんでいる。

「すごい高級店みたいじゃない?静けさはステータスね」

その客入りでローンの支払いは済んだのかな、とレニは思った。

21_猫のパジャマ#01

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