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「私の祖父がこれを作った」


ムーンバレー第6区の宝石加工店ムーンライト・ストーン通称"月の石"。

店内ブースの一席に座る"アンバー・ガール"を示しクロード・ロックはレニに言った。

「フローラの件は、本当にありがとう。またショールームに出せるようになって嬉しい。君とナオキのおかげだ」

「ビゼンがすごい」

「そう。ビゼン。ほんの7日間で、私は彼に多くを学んだ」

フローライト・ガール修復の1週間。ロックとビゼンは意気投合し、ビゼンの帰航の際にプライベートの連絡先を交換していた。それから何度もやり取りがあり、今回の"Amber Girl"譲渡の運びとなったらしい。

アンバー・ガールの面差しは優しく、愛らしい。しかし、表情は虚ろだ。大きな琥珀色の瞳の焦点は遠い。

ウイスキー色の瞳の中に、不思議な形の黒い点がある。レニの不思議そうな視線にロックが虫だよ、と回答する。

「惜しくはないのですか?ロックさん」

レニの問いに、ロックは満足げに頷く。

「どんなものにも、相応しい場所があるのさ。言葉はビゼンの受け売りだが、私はずっと探していたんだ」

ロックは、彼の隣のアンバー・ガールを見つめた。

「アンに相応しい場所を。地球に帰してあげたい」

「地球に帰す?」

「アンバー。琥珀は、有機宝石なんだ。古代の樹木の樹脂が、長い年月をかけて化石化したもの」

「カセキ?」

「太古の動植物の遺骸や、活動の痕跡が地層の中に埋まり、土の中で保存されたものだ。大半は長期間かけて成分が鉱物と置き換わり「石」に変化する」

人類出現以前の地球の記憶を宿しているんだ。

レニは、ライブラリで見た地球のソラやウミのビデオを思い出す。ツチの映像を、ほとんど見たことはなかった。

「オデッセイさ」

「オデッセイ?」

「長い帰還の物語」

今度ライブラリで調べてみよう。ツチとカセキと、オデュッセイア。

レニはアンの襟元に視線を向ける。交互に重なり合った布地はシルクだろうか。

「アンみたいな服、初めて見る。これは?」

「キモノだ」

ロックは、ブルーの方の瞳をウインク。オッド・アイが空と琥珀の色で微笑む。

「ニホンの伝統衣装だよ。ビゼンの家に馴染むようにね」

12_地球へ!#03

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