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しくじった。


ジジ、ジーー


「レニ、状況を報告しろ」

「撃った。当たった。でも、動いた」

「どこを撃った」

「額と心臓」

「血は出たか」

「赤かった」

「オーケー。把握した。事務所に戻れ」

「了解」


ジジ、ザー……


カーとのテレフォンを終え、レニは回収ヘリの中で考える。


なぜ死なない?


ターゲットはデイジー・ベル。発色のいい青髪とトワイライトの大きな双眸。フォトと全く同じ顔。同じスタイル。光学迷彩ではなかった。生身の肉体。サーモグラフィーも人間であることを示していた。


なぜ、額を撃たれて動けるの?

なぜ、心臓を撃ち抜かれて笑えるの?


パララララ、とヘリのプロペラ音が聞こえ出す。パイロットの後頭部を眺めつつ、ようやく現実に追いついた。


タダ働きで、事務所に着いたら小一時間のカーの小言。ワーキング・ペナルティのオマケ付き。しばらく節約生活しなくちゃ。当分、プレーン・ウォーターはやめとこう。匂いの強い季節外れの水が安い。


「80モニカが水の泡か」


惜しくはない。それが1番不思議だった。

レニはキャップを深く被り、眠ったふりでデイジーのことを考える。

18_さよならデイジー#03

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