「どういうこと?カー」
「レニ。怒るな」
「私じゃできない仕事ってこと?腕前を信用されていると思ってた」
「逆だよ、レニ」
「逆って?」
「私たちは、君を失いたくない」
「カーは私のお父さん?」
「よく聞いてくれ。君の殺しの腕はピカイチ。信頼している。これは間違いない」
「ふうん」
「うちで勤めて3年目になる」
「そうね」
「勤続年数が長い。時間に正確。仕事はきっちりこなす。業務依頼の手間がない。使いやすい人材だ」
「お褒めに預かり光栄だわ」
「仕事の幅が広い。スポットも引き受けてくれる。無駄口叩かず、人当たりはフラット。クライアントの評判も上々」
「あ、そうなの?」
「レニ。我々は、君にはできるだけ長く、うちの会社で働いてほしいと願っている」
「私もそう」
「だから、仕事の依頼内容を変えていきたい」
「なるほどね」
「生死にかかわる危険な任務は、流れの人材を単発雇用することに決まったんだ」
「会社として?」
「イエス」
「私の仕事が減っちゃうよ」
「配慮する。ドカンと大きな仕事は減るが、時給が良くて安全な仕事を多く任せることになるだろう」
「電気猫探しとか?」
「イエス」
「引越しの荷運びとか?」
「イエス」
「今回みたいなお世話係?」
「イエス」
「カー。私の家は宿屋じゃないのよ」
「今回だけは頼むよ、レニ」
「なぜ私?」
「君は女の子だ。そして、スポッターも女の子」
「何歳?」
「キャサリン。15歳。火星民。朝が壊滅的に弱い。生活管理は破茶滅茶。朝食にアイスクリームをカートンで食べる女の子だ」
「子守りしろって?」
「今回の仕事が成功する失敗するか。500モニカと会社の命運は君にかかっている」
「私の報酬は?」
「2日48時間7200レメク」
「悪くない」
「引き受けてくれるか?」
「イエス。でも、宿屋代わりは今回だけよ」
「命の恩人だ、レニ。詳しいことは書面で送る」
「ちゃんと仕事回してね」
「もちろんさ。君にしか頼めない仕事がたくさんある」
Pi.
It’s yesterday’s call log.


