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19_ あるいは水でいっぱいの海#06

“Don’t move.”

なーんてね、と、その人は人差し指を上に向けてパン、と言った。僕はなんていうか、そう、ビックリギョーテン。ぶわーって髪の毛が逆立つ感じでしばらく体が動かなかった。
で、その後。両腕が勝手にバンザイする。脚がジタバタ床を踏む。ジャンがほっほっほと笑う。
「金の鳥のおねえさんだ!」
僕は叫ぶ。あの時の人だ!ターコのガラスを、1発3モニカで壊すって言ってくれたコロシヤさん!
「なんのこと?久しぶり。ボウヤ」
覚えてくれてた!嬉しい。
コロシヤのお姉さんは、前に会った時より小さく、近くに見えた。それは僕が立っているから。青の濃いヴァイオレット。瞳の色まではっきりわかる。
「僕、ラジエル。ラジィって呼んで」
「よろしく。ラジィ様」
「僕のシショーなんだから、様はいらないよ」
「そう?」
お姉さんはジャンをチラッと見た。僕も見る。ジャンは大きく頷いた。
「じゃあ、ラジィ。よろしくね。私はレニ」
「よろしくお願いします。レニ!」
レニの右手を僕は握る。親指の付け根の皮膚が硬かった。

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