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16_誰も寝てはならぬ#02

「3つの謎かけだって」
『3つの謎かけ?誰が、誰に?』
「トゥーランドってお姫様が、カラフって主人公の男の人に。カラフが全て答えられたら、お姫様はカラフと結婚するみたい」
夕食の後、バス(水のやつ)を済ませて、僕は自室でスクリーンをアメと一緒に眺めていた。

プティ・フールのクッキーを飲み込んだ後、思い切ってラファエルに「ジャンのショーが見たい」と言ってみた。ラファエルは自分は予定がある、と言って一度断ったが、僕がしつこくおねだりするとウォッチを起動し、おばあさまにテレフォンしてくれた。

ーーラジィ、いらっしゃい。奥方がお喜びになられるわ。

満面の笑みでの快諾。明後日の最終日におばあさまが連れて行ってくれることになった。おばあさまは元々ショーに行く予定だったから、ついでに僕も、ということらしい。やったね。

そういうわけで、僕は「トゥーランド」の予習をしている。衣装やなんやが凝っていて面白い。ジャンのルーツはこの国なんだね。
『謎が解けなかったら?』
アメがぎこちなく口を開く。アメの返答には、タイムラグが時々あるんだ。僕はテキストを見て答える。
「カラフは姫に殺される」
『それはラブストーリー?』
「さあ?わかんない。アメはどう思う?」
『愛する人を殺すというのは、人間にしかできない行為だ』
「だから、ラブストーリー?」
『わからない。人工知能は愛するものを殺さない』
「ふーん。よくわかんないけど、人間ってフクザツなんだね」
『ラジィはどう愛す?』
「ええ?僕ぅ?」
アメの翠の瞳がじいっと見つめる。虹色のチューブ・インクルージョンがきらきらっと瞬いた。
「うーん……。壊れないように、あまり触らないようにする」
『なるほど』
「なるほどって?」
こくんと頷くアメの顔はいつものやつ。愛想や表情ってものを、標準装備してない顔面。
『ボクは愛されてるってことだね』
「それは飛躍しすぎ。ジャンもアメも真面目すぎだよ」
ぎゅ、とアメの手を掴んでみる。硬くて脆そう。
『ラジィは不真面目?』
「平均値より真面目な子ども。多分ね」
握り返す指も硬い。透けるのは結晶構造の斜線。

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