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16_誰も寝てはならぬ#01


ハムとダイコンのマリネ
オニオン・グラタン・スープ
クロワッサンとバゲット
サーモンのムニエル
オレンジ・ソルベ
ビーフ・ステーキ
クレソンサラダ
3種のチーズ
キウイとパイナップル
チョコレート・ムース
ホットコーヒー(僕はココア)
アイスボックス・クッキー

すごいメニュー。テーブルに置かれた紙のメニュー表を見て、僕はいつもシンセンに驚いてしまう。こんなの毎日食べていいの?って。

僕の住んでいた家(もう焼けちゃってないけどね)は、それなりに裕福で食事の水準も高かったはず。ジュエレッタを所有できるくらいの財力があった。

それでも、こんなコース料理を食べたことってほとんどない。覚えているのは3回くらい。どれも、両親にとって大事なゲストが同席していた。

しかも、生のサカナと本物のハムがある。最初の日の晩御飯、これに僕は心の底から面食らった。

ニクや野菜はプラントで作られるから、マーケットやコンビニで、区に関わらず普通にどこでも買えるらしい(ジャンが言ってた)。

サカナとハムは高級品。居住区Aでも、毎日食べてる家庭は滅多にないんだって(これもジャンが教えてくれた)。

すごいお家にもらわれてきちゃったなー。

僕は、そんなことをオレンジ・ソルベをスプーンで掬いつつ考える。これは前の家でも食べたことがあるんだ。うん。同じ味で、ちゃんと美味しい。

「ラジィ、足の具合はどうだい?」
ラファエルが、スプーンを置き僕に聞いた。僕もソルベを中断し、スプーンを置いて手を膝に置く。
「とてもいいです。今すぐかけっこしたいくらい」
「はははっ、元気で何よりだ。しかしジャンはおじいちゃんだ。ほどほどにな」
「ジャンは、今日はお休み?」
「ああ、急なことでラジィに伝え損ねたね。ジャンにはショーを頼んだんだ」
「ショー?」
「ムーンライト氏だ。あの方のお願いはいつも急でね」
「ムーンライトさんって、ムーンタワーのオーナーのムーンライトさんですか?」
「そうだよ。今日から3日、ジャンは舞台のオープニング・アクトをするんだ」
見たい。すごく見たい。
「それ、何のショー?」
ラファエルは顎に手を当て天井を見た。メイドさんが溶け切ったソルベをさりげなく下げる。
「トゥーランド。オペラだよ」
湯気の立つアントレ。ビーフの焼き加減はレアだ。

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