15_Moon rabbit#01
「ラジィ、何歳?」
「9歳と3日」
「お誕生日だったの? トピー、Refill.」
""Happy birthday!””
レイチェルに声を揃えて言った、彼女のジュエレッタを僕は見る。トパーズ・ガールのトピー。金のボディと金の髪。悪戯っぽい目元と口元。なんだかすごく。
「人間みたい」
「でしょ?故障かしら?」
レイチェルは赤い瞳をにいっと細めてくすくす笑った。トピーも、コマンドもなく同じように喉を鳴らして笑っている。
第1層2区医療エリアSouthブラウン博士の研究所。令嬢レイチェル。
ラジエルは気が遠くなるような入室工程を経て、彼女の世界の全てである無菌室で過ごしていた。理由には複数方位からの事情がアザナエルナワノゴトシで絡み合っているらしい。
が、トドノツマリ、ラジィがここにいる理由の大部分はラファエル・ホワイトの面子を塗り固めるためである。
ラジエルとしては外出は願ったり。しかもその相手が大人ではなく年の近い、しかもかわいい女の子である。
「故障も悪くないね」
レイチェルは肩を竦め、ませた感じで微笑んだ。目があってどきりとする。
「あなたって優しいのね。ラジィ。私は13歳と3ヶ月。4歳くらいおねえさんね」
「おねえさん、って読んだ方がいい?それともレイチェルさん?」
「あはは!ラジィはおもしろいね。なんでもいいわ。呼び方なんて」
あ、でも、とレイチェルは天井を見た。ラジエルは彼女の視線の先を追う。この上なく白い天井しかなく、見つめていると目がチカチカした。
「ウサギちゃん、だけはヤダ。サベツヨウゴよ」
「ウサギってなに?」
「地球の動物。寒い季節には体毛が白くなるの」
「へー」
「目が赤いのは、アルビノ個体だけ」
「アルビノって?」
「先天性白皮症」
「??」
「あたしみたいな見た目になるの」
レイチェルは肩先の髪を人差し指でくるくるいじる。真っ白な髪と真っ白な肌。まんまるい目はイチゴみたいな赤い色。
「ショートケーキみたい」
「え?ショートケーキ?」
「あ、いやだった?ごめん」
「ショートケーキって……、ぷっ、あはははは!!」
レイチェルはお腹を抱えて笑い出し、隣のトピーもケラケラ歌う。同じタイミングで同じように笑うから、姉妹みたいに見えてくる。
「えーっと……。ウサギの話だったっけ?」
「ふふっ、それはもういいわ。それより、ラジィ。これを見て」
「何?フォト?……あ」
「すごいでしょ?地球だって」
「この人、友だち?」
「そう。トピーを連れてきてくれたの」
「モリーってわかる?」
「知ってる。モリーは歌うんですって」
「レイチェルは、それ聞いたことある?」
「ないわ。だって、モリーはレニのだもの」
「レニ……」
金の鳥の人。


