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27.5_時計仕掛けのオレンジ#01

左右に揺れるポニーテールを目印に、物陰を探してついて行く。ふと気がつけば、駅に入ってトロリーに乗り、知らない場所に来てしまっていた。
「ここまでよ」
ポニーテールがピタッと止まった。誰に言ったの?とあたりを見回す。立ち止まる人は誰もいない。
「そう。あなた」
え、ワタシ!?
くる、とポニーテールの女の子が振り向いた。凛々しい表情。音もなく近づいて、いつの間にかすぐそばに立っていた。
「ここから先は危ない。引き返すのが賢明」
うっ、すごい迫力。
「な……なんのこと?」
「6区に、以前来たことが?」
「……ないけど、アナタに何の関係がありますか?」
近くで見ると、思っていたよりずっと美人。足が勝手に後ずさる。
「何の関係もないのに、どうして私を尾行する?」
「それは……」
深い考えはなく、つい後をつけてしまっただけ。いつもの本屋で、リックくんをたまたま見かけた。知らない女の子と一緒で、見たことのない顔で笑ってて……。
目が離せなくて、気がついたらここにいた。
「自分の身を守れるの?」
「ワ、ワタシ……」
じり、じり、と足が下がる。視界がぐにゃりと曲がった気がする。そっか。ここは大学じゃないし、セントラルじゃない。ワタシの知らない摂理の世界。
「……そんなの、考えたことない」
その女の子は小さくため息をついた。腰に手を当て首を振る。ポニーテールの毛先がちらちら光を反射した。
「幸せな人だね」
そうなのかな。そうなのかも。
「で、あなた私に何の用?」
声がさっきより優しい。鼻の奥がツンとして、目の奥が熱くなる。ワタシは両手で顔を覆った。
「……うぅ〜〜」
「なぜ泣くの?」
「急に怖くなってきた……」
「なんというか、素直な人ね」
肩にぽんぽん軽い感触。手のひらが温かい。余計に涙が溢れてくる。
早くお家に帰りたい。自分の部屋に戻りたい。
クーフィーを抱っこしたい。
「お願いです。ステーションまでついてきて……」
「報酬は?」
ワタシはびっくりして顔を上げる。
「え?お金?」
「私の仕事、ボディーガード」
「えーと……」
ぽん、と肩に手の感触。女の子がクスッと笑った。笑った顔がとびきりかわいい。
……やっぱりあれ、デートだったんだ。
「冗談よ。コーラ奢ってくれる?それでチャラ」
「あ、ありがとう……」
「あなた名前は?」
「ライカ・ベルカ」
「私はレニ」
「あ」
レニさんがワタシの背中をぽんと押した。
「ライカ、先に歩いて。ステーションまでの道はわかる?」
「わ、わからない…」
「オーケー。ナビゲートする。私のそばを離れないで」
「はい、レニさん」
まっすぐよ、という声に、ワタシは右脚と左脚を交互に動かし前進する。

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