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「ただいま、モリー」


レニは冷蔵庫へ直行。モリーの瞳がレニの通り道を追いかける。

取り出したのはピーチ・ウォーター。甘い香りが喉を潤す。うん、美味しい。

「無事に終わった。何度かヒヤッとしたけどね」

先ほど、キャシーをターミナルまで送り届けてきたところ。彼女は左の頬に大きなバンソーコーを貼り付けて、インディ(Indicolite Girl)と手を繋いで大きく手を振り火星に向かった。隣並んだ座席で、インディの電磁波で癒してもらい、居眠りしながら帰るそうだ。


「私も、はじめは給料全部使い切ってた」


生活は不規則。家ではコーラか合成肉、ブロックやプレートばかりを食べていて、食生活も荒れていた。


「冷蔵庫を買ってから、なんか落ち着いたな」


冷蔵庫に冷やすドリンクは、コーラ、ジュース、ガス入りウォーターを経て、最後は水になった。冷たい水が一番美味しい。それに、朝が楽なのだ。

生活が変化する買い物がある。レニの場合は冷蔵庫と、買っていないけどチップ代わりにいただいたモリー。

仕事終わりに静かな部屋で冷えた水を飲み、きれいなオブジェが笑いかける。


贅沢な夜が、いつの間にか日常にあった。


キャシーは、インディゴライト・ガールを買った。

月の石の店内で、インディゴライト・ガールと並んだキャシーを思い出す。長身のジュエレッタと小柄なキャシーは、どことなく面差しが似て、親子めいてレニには見えた。


モリーと私は、並ぶとどういうふうに見えるのだろう。親子じゃないな。姉妹?友だち?それとも……。今度ナオキに聞いてみよう。


"Mory, refill. The mars song."

“Okay, Leni.”


Mory stands.

Copper arms open like the red curtain.


"For you…red sand melody… "


Breeze.

10_火星の客#06

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