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13:50定刻にシャトルが到着。

依頼人は、パナマハットに麻のスーツ姿。80ℓキャリーケースを2つ転がし現れた。

「こんにちは。依頼したビゼンです」

「ようこそ月へ。僕がメールを差し上げたナオキ」

「通訳と護衛を担当する。レニです」

ビゼンが右手を差し出したので、ナオキ、レニの順で握手。ビゼンはくしゃりと笑って背伸びをした。

「不思議な心地だ。月で日本語が通じるとは」

ビゼンは53歳。小柄な痩せ方。筋肉質というわけではないが、体幹が真っ直ぐで、身のこなしや視線に隙がない。ザ・ニホンの職人といった雰囲気である。

「荷物をお持ちしますか?」

「仕事道具だ。お気持ちだけいただくよ」

「ええと、こちらは?」

レニは彼の背後に視線を送る。ビゼンよりも頭一つ高さのあるジュエレッタが、穏やかな微笑みを浮かべ付き従っている。

「歩行機能をカスタマイズしてある。ノープロブレム」





「割れ方が美しい」


ムーンライト・ストーン倉庫。壊れたフローライト・ガールを見たビゼンの第一声は、静かに暗闇を震わせた。


"What he said?"

“It’s a beautiful cracking.”

“What does he mean?”


「どういう意味ですか、と店主が」

「ええとね。……I can return beautiful.」


“He can repair perfectly.”

“Really?”


It was broken. Scar wouldn’t erase.

月の石の店主が悲しげに呟く。ビゼンは、フローライト・ガールに深く刻まれた溝を人差し指で辿る。


「壊れたものは、決して元には戻らない」

ーーBroken things can never truly return to their original form.

「しかし、時間や価値が損なわれるわけではない」

ーーHowever it never change of the past time or values.

「傷や欠けを、経年の美へと変える。それが私の仕事だ」

ーーMy work is changing lacking into a beautiful.

「任せなさい。光は蘇る」

ーーIt’s my job. She will radiate light.


「物語とともに」

ーーWith tales.

09_Inherit the gold#05

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