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「よ、レニ」
「ナオキ。スーツ決まってる」
「だろ?レニはいつものカッコ?」
「服装でオンオフ切り替えないタイプ」
「ははっ」
ステーション宇宙港23番ゲート前。ナオキとレニは到着時刻の15分前に落ち合った。
「ナオキ、キンツギって何?」
「地球、日本の伝統的な修復技法だ。割れた陶磁器を漆を使って接着し、金や銀の金属粉で装飾する」
やたらと詳しい。専門用語のオンパレードでレニは説明の3割ほどしか理解できなかった。
要するに、工芸品の修理職人が、はるばる星の海を渡って直しにきたってことだ。ジュエレッタを。
「今回のこと、ナオキが?」
「当たり。割れたフローライト・ガールを、どうにかできないもんかと思ってさ」
粉々の左目を見開いたまま、額から顎がパキンと割れた蛍石のオブジェ。痛ましい姿で、倉庫の暗闇にそっと置かれて3週間。
「うちの店に、金継ぎの器があったことを思い出した。窯印から調べて、窯元を特定して、月の石と共有して、店主と連名でメールした」
ナオキの店は、開拓時代から続く。ジャンク屋が、閉店とオープンを断続的に繰り返し、名乗りを上げた店主が引き継いできた、それなりに由緒あるセカンドハンドショップ、もとい骨董屋ことガラクタ屋なのだ。
「そうしたら即レス。無償で直す、渡航・滞在料金も全てこちら持ちでいい。共通言語が不得手なので、滞在中外出時の通訳と案内人をお願いしたい、って」
すごい。それって何モニカ?とレニは頭の電卓を叩く。
「どうしてそこまでしてくれるのかな」
「職人だからじゃないか?」
ナオキはウォッチを見た。到着まであと5分。
「直したい、って何度も言ってた。二人とも」
月の石店主と金継ぎ職人。そしてナオキも、とレニは思った。
09_Inherit the gold#04
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