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無くて七癖有って四十八癖。


僕の癖は、48の集合に含まれる。

ショーウィンドウを眺める。

歩道の溝を辿って歩く。

電光掲示板のゾロ目を探す。

カップの持ち手を30度の角度に揃える。

花瓶の花は3本。


出入りの際は鍵をかける。


確かに鍵をかけた。

劇団の稽古と日雇い仕事をこなし、帰り道に赤い花を3本買った。

アルミの階段を4階まで駆け上がり、鍵がかかった扉を開いた。

そう。鍵はかかっていた。


見たのは消失。


僕のルベライト・ガールは、忽然と、跡形もなく消えていた。


鍵はかかっていた。窓は閉まっている。部屋の中は、1点を除き全てが出かける前のまま。カップの向きも家具の配置も、花瓶の落とす影の形も。


盗まれたのか。プロに。


花が床に落ち、赤い花弁が血痕みたいに散らばった。


僕は部屋を飛び出した。鍵をかけ忘れたことに、ステーションのホームを走っている時気づいた。

トローリーの吊り革を握りしめる。ガラス窓に、口を歪めた僕の顔が映っている。


鍵をかけていなくなるって、君の時とそっくりだ。

03_ひとりぼっちのパドドゥ#03

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